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人と犬と社会にとって良いアニマルシェルターとは

人と犬と社会にとって良いアニマルシェルターとは

人と犬と社会にとって良いアニマルシェルターとは?

日本や海外にも様々なアニマルシェルター(動物保護団体)が存在します。
それぞれの団体には方針や特色があり、価値観や大切にしていることも異なります。そのため、キドックスとしてもシェルター運営における大切にしたい方針や価値観があり、それを具体的にお伝えしたいと思います。

キドックスとしての10つの考え

①予防の活動に力を入れてる
これから犬を迎える方や一般飼い主さんへの相談や教育、地域の方への動物福祉に関する教育、子どもへの命の授業、犬を手放したい人への相談援助など、「保護が必要になる前」の活動にも積極的に取り組んでいるかを大切にしています。実際に、ペットを手放したい飼い主の9割は何らかの相談や援助があれば飼育継続ができるというデータも海外のシェルターでは出ています。

②「保護」が目的になっていない
取り組んでいる動物保護活動が、本当に社会のためになっているか?の視点を持てているかは大変重要です。
目の前の保護動物を救うためなら何をしても良いわけではありません。
緊急レスキューなどはもちろん必要な活動ですが、同時に長期的に、動物福祉の社会に貢献できるかも考えねばなりません。
例えば、保護動物を遠方に輸送することで地域の問題認識力/問題解決力を奪ってしまっていないか?悪徳事業者の保護を支援することで悪いビジネスが継続することを助長していないか?保護や譲渡という形だけにとらわれず、人と犬のキズナの向上や人と人の温かいつながりが増やせているか?など、常に自分の活動を短期的にも長期的にも振り返る必要があります。

③1頭1頭の動物福祉を適切に判断できている
動物の保護・管理の過程において、動物の5つの自由やQOLが守られているかを常に第三者の視点も入れながらチェックする体制をつくることはとても大切です。動物は声を発せないからこそ、特定の人に運営や判断が依存しない組織体制をつくる必要があります。
そして、保護した動物が、シェルターで過ごすことで、心身共に保護前よりも良い状態へと変化していっているか?を客観的に判断することも大変重要です。

④譲渡条件が厳しすぎない
里親さんを一方的に条件で審査するのではなく、対話や関係性を大切にし、初心者の方でもどうすれば保護犬と一緒に暮らすことが出来るかを共に考える関わりを大切にしています。
実際に、動物保護団体が譲渡条件を厳しくすればするほど悪徳業者が儲かっていく(ペットショップで購入する人が増える)というデータがでています。だからといって誰にでも譲渡するのではなく、1組1組に合うマッチングを丁寧に対話を重ねながら行うことが大切だと考えています。

⑤コミュニケーションを重視している
動物も、人も、含めて、関係者(例:犬・スタッフ・ボランティア・里親さん・犬に関する相談者の方・行政・関係機関など)すべての方々とのコミュニケーションや対話を大切にしています。人にも動物にも誠実であることが大切です。

⑥長期的な関係性の構築に力を入れている
動物を譲渡して終わりではなく、里親様のアフターフォローこそ大切にしていたり、地域のボランティアさんとのつながりや、例えば退職したスタッフも含めた交流など、様々な人や動物の長い人生の移り変わりの中で、いつでも変わらぬ安心した関係を築きたいと思っています。

⑦人と動物の本来持つ可能性を信じている
「今はできなくても、きっとできるようになる。」「向き合い続けたら理解してくれる日がくる。」
まだ見ぬ相手の持つ可能性が拓くことを信じて、こちらから働きかけることを諦めません。

⑧殺処分ゼロよりも譲渡率100
殺処分ゼロという数字だけを追ってしまうと、行政の収容施設で犬が溢れて事故が起きてしまいます。さらに、収容数ゼロという数字だけを追ってしまうと、飼い主さんが犬を行政ではなく野外に捨てるようになって野外繁殖したり交通事故で亡くなったりと、また別の問題が起きてしまいます。
そのため殺処分数よりも譲渡率を大切に考えています。そのために、シェルター内の保護動物が譲渡できずに停滞して、新たな保護ができない体制はつくらないようにしています。シェルターが停滞すると、本来すぐに譲渡できそうな子ですら救えなくなってしまうためです。
また、保護動物にとっても、シェルターが終生の住まいではなく、最期の時はその仔の家族の腕の中で迎えてほしいという想いがあります。

⑨自分たちのキャパシティを理解できている
動物保護には、人材(お世話から専門分野まで)、お金、場所、時間、手間、など大変な労力がかかります。
自分のシェルターが、何頭までなら収容可能か、管理可能な個体か、という「数」と「技術」の2つのキャパシティを冷静に判断するようにしています。感情だけに流されてしまう保護は、結局は保護動物のためにならないためです。

⑩地域社会に貢献することを使命としてとらえられている
地域で困っている飼い主さんの相談にのり、時に支援をし、時に必要に応じて保護対応をする。
そしてシェルターでは保護動物を保護前よりも良い状態できるようにサポートしていく。
良い状態になった保護動物を、地域の里親希望の方に適切にマッチングをして譲渡をし、里親さんと良い関係性を築き、人と動物・人と人の素晴らしいキズナを地域に増やしていく。
そのような家庭や地域で育った子ども達が動物を好きになり、人や動物に対する感謝や愛情やおもいやりの心が育まれ、
それがまた次世代へとつながっていく。
そうすることで、人も、動物も、地域社会も、幸せになれる。
そんな活動を、温かい想いと共に、地域に広げていくことが、地域の中にあるアニマルシェルターの使命であると考えています。

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